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謎の転校生ネタ [二次創作いろいろ]

注:カイ兄ちゃんではありません。

おバカねたでも大丈夫な方だけ、ご覧ください。

1時限目が終わったある日の教室。女子の多くがおしゃべりにむちゅうな中、小夜は早くも鳴り出したお腹をなだめるために栄養補給にいそしんでいた。いま食べておかなければ、絶対に次の世界史の時間にお腹の虫が大声をあげてしまう。そんな小夜の食べっぷりを香里は楽しそうにながめていた。
「ねぇ、知ってる?昨日の騒ぎ。土師くん、転校早々に不良グループにからまれたんだって。でね、一人で全員やっつけたらしいよ。」
「ふ~ん。(もぐもぐ)」
土師というのは、このクラスに転入したばかりの、黒髪にブルーの瞳の人形のように整った容姿の男子生徒である。以前はフランスにいたというが、近寄りがたい雰囲気のためにクラスメイトの誰もが彼に興味を持ちつつ、なかなか話しかけられないでいた。
だが、小夜の関心は転校してきたばかりのミステリアスな少年よりも、たらこおにぎりに向いている。
「ちょっと小夜、興味ないの?背は高いし、成績いいし、スポーツも万能だし、それにクールで大人っぽくて・・・他の男子と大違いじゃない。他のクラスでもすっごい人気なんだよ。小夜はなんとも思わないの?」
「別にぃ・・・。」 
「あ、土師くん、小夜のほう見てるよ。きゃ~こっち来る!」

                   
いましがたまで読んでいた本を閉じて、話題の転校生が席を立った。クラス中の女子と廊下から中をうかがう他クラスの女子の視線が彼に集まり、なりゆきを見守る。
小夜の席までくると長身の彼がすっと、身をかがめてひざまずいた。
言葉にならないざわめきがおき、少年誌をまわし読みしていた男子たちも何事かと注目した。

「な、何?女の子が早弁しちゃいけないっていうの?」
「ハジとお呼びください、そして命じてください。」
「へ?何を?」
「なんなりと。」
「んじゃ、購買のカレーパンとジャムパンと、え~と・・・」
「カツサンドとカル○スソーダですね。」
「なんで知ってるの?」
「あなたのことなら何でも。」
少年はそういうと、大人びた怜悧な顔にわずかに笑みを浮かべた。

きゃ~!!
めったに表情を変えない彼がはじめて見せた笑顔に、女子の歓声があがる。
「素敵。かっこいい~。」
「音無さんと、どういう関係?!」
そんな声があちこちで飛びかう。
「え・・・と、あなた、私のこと知ってるの?どっかで会った?」
この少年は宮城家に来る前の自分を知っているのだろうか。小夜には1年以上前の記憶が無い。そして・・・いくら待っても自分を知っているという人物は現れず、なかばあきらめかけていたのだ。
「お忘れですか、貴女と共に生きる。そう誓ったものです。」
大人びた少年は、真摯な瞳でまっすぐ小夜を見つめてそう告げた。
「・・・?」
きゃ~!!きゃ~!!
何、何、どういうこと!?

ぽかんとしている小夜をよそに、女子が口々に叫びだし、瞬く間に情報が校内を駆け巡った。

翌日・・・。
「あのさぁ、みんなこっち見てるんだけど。」
小夜は自分のかばんを抱えてすぐ後を歩く少年に、困惑の表情を向けた。
お荷物をお預かりしますといって、少年がきかないのだ。いつまでも問答していては、注目を集めるばかりなので、しかたく小夜が折れたのだった。それなのに他校の生徒までが、こちらを見てなにやら囁きあっている。
コンビニの前を通りかかると、いつものように素行の悪い生徒が数人たむろっていた。それが二人の姿を見るとあわてて立ち上がって、『おはようございます、音無さん!!』と、ふかぶかと頭を下げた。
「へ?どうなってんの?」
「小夜~!大変、大変!」
学校に向かう生徒の間をすり抜けて、香里がやって来る。
「あ、香里、おはよう!」
「小夜、まだ知らないの?小夜がうちの学校の影のスケ番だって言われてるの。」
「何、それ?」
香里がちらっと小夜に従う少年のほうを見る。
「ほら、土師くんが不良グループやっつけたじゃない。そいつらが勝手に舎弟になったつもりなのよ。 それで、土師君が小夜の従者になったから、そいつら小夜がさらに上の存在だと思ってるの。」
「え~、そんなのヤダ。どうしよう。ちょっとあんたのせいよ、なんとかして。」
「なんとかと、言いますと?」
「だから、スケ番なんて言うのやめさせて!」
「はい、では女王様とお呼びするよう徹底させます。」
「違うって!」
バシッ!
あまりにボケた返答に、小夜は思わず白皙の美貌に平手を見舞っていた。
おおっ!!
周囲の生徒がどよめく。
秀麗な頬にくっきりと赤い手形が刻印されていた。それでも少年は顔色ひとつ変えずに、ひざまずいた。通学路の真ん中で。
「小夜、自分の思うように生きて。」

「すごい、あの土師くんをひっぱたいたわ。」
「やっぱり、影のスケ番って噂は本当なんだな。」
「へ~、見かけによらずやるじゃん、音無って。」
そこかしこから、そんな声があがった。
「ち、違うのよ!!」
そんな叫びもむなしく、その後小夜の名は『コザ商の女王様』として沖縄中に知れ渡り、不良たちから一目おかれる存在になった。
                            ***おわり***


おそまつさまでした。Topの絵も変えなきゃ~と、思いつつ何やってんだか。 


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トントちゃん

おおっ、力作ご苦労様でした~!

スケ番・・・懐かしい響きだ・・・。
私の学生時代には確かにそう言ってたわ。

コザ商の女王様、土師くんといつまでも仲良くね☆
by トントちゃん (2007-06-02 20:59) 

mamt

Pさんちにあった素敵なハジにお話まで出来てるv
これでコザ商の平和は約束されましたね^^
女王様、これからは食べ物には困らないかも。貢いでくれる舎弟がたくさん(笑)
by mamt (2007-06-02 22:06) 

うさぎりんご

fooさん、FuHaさん、niceありがとうございます~。

>トントちゃん
おバカな話につきあってくださってありがとう。今、スケ番というとお笑いの「スケ番キョウコ」くらいですね(笑)。

>mamtさん
見つかってしまった。Pさんのはシリアスなのに、私がやるとこうなってしまいます。
by うさぎりんご (2007-06-02 22:47) 

くーまま

あっはっはっは~!!読んでしまいました!ハジ、「女王様」発言はないでしょー♪いったいどんな目で見られるか・・・ジョージが悲しむ(笑)
by くーまま (2007-06-02 22:54) 

トントちゃん

再びお邪魔します。あの転校生土師くんのモデルはエース版の巻末にあった、美少年高校生ハジですよね!?
今頃気づきました・・・。
by トントちゃん (2007-06-02 23:12) 

うさぎりんご

>くーままさん
読んでしまったんですね・・・。女王様はダメっていったら、「では、マスターと主人様どちらがよろしいですか?」とか大真面目にききますよ、うちの土師くんはかなり天然です。

>トントちゃん
ピンポーン!あれです。早弁してる小夜を描いたときに、思いついて夜更かしして打ち込みました。
by うさぎりんご (2007-06-03 20:59) 

てさ

す、すっごい面白いですっ!!!!
「女の子が早弁しちゃいけないっていうの?」
から最後まで声を上げて笑ってしまいました!
高校生ハジに「命じてください」言われてみたいわ~。
きっと、次に小夜が目覚めたらこんな展開もありですよね~!

スケバンといったらやっぱり、スカートは長めで!!(年がばれる~)
by てさ (2007-06-05 12:36) 

うさぎりんご

>てささん
おそまつさまでした。私が書いた土師くんは理解不能な言動する奴ですが、アニメのハジが「わたしがやらなきゃ」で刀を振り回したときは、わけがわからん奴だと思ったものです。
>スケバンといったらやっぱり、スカートは長めで!!
そうそう、昔は長いスカートでした。もはや、「ナイナイ」かコントでないとお目にかかりません。
by うさぎりんご (2007-06-05 21:02) 

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