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Fete du Muguet [二次創作いろいろ]

これは、ほんとはもっと早くUPしたかったのですが、ダウンしてたのでしょうがないのです。 

すずらん1.jpg
「小夜~。」
ったく、どこに行ったんだよ。
朝食の後、ふいに姿を消した小夜の姿を求めて、ハジは浅いせせらぎに沿って木立のなかを歩いていた。
花が開き始めたばら園はもちもん、小夜のお気に入りのは場所をいくつもまわり、庭園の世話をする園丁たちにもたずねたが、いっこうに見つからない。
敷地はあまりに広大すぎて、ハジは途方にくれてしまった。

ガサガサと下草を踏む音がして、ハジは驚いて振り返った。
「あれ?ハジ、捜しにきてくれたの?」
木立の後ろから、長いドレスのすそを泥で汚した小夜が現れた。
「捜しに来てくれたの、じゃない!ドイツ語の授業すっぽかしといて。先生はもうあきれて帰ったぞ。」
「いいじゃない、辞めてもすぐに新しい先生がくるわよ。」

・・・・・・。そういう問題か?

あきれて言葉もでないハジの鼻先に甘く爽やかな香りが漂った。
差し出されたのは小さな鈴のような白い花。
「ハジにあげる。」
「すずらん?これを取りに?」
ハジは小首をかしげた。すずらんなら花壇にだってたくさんあったのだ。欲しければ、園丁に声をかければいいものを。
「そうよ。きょうはすずらんの日だもの。大切な人やお世話になった人にすずらんの花を贈るのよ。五月の最初の日にすずらんを贈ると、その人に幸福が訪れるの。知らなかった?」
こくりとハジはうなずく。
「ここの花のほうが、香りがいいのよ。」
小夜はとくいそうに、すずらんでいっぱいになった小籠を掲げてみせる。
ハジはもらった花を両手で大事に包んで顔を寄せた。青い清涼感のある香りがハジの胸を幸福で静かに満たす。

「行くわよ、ハジ。ジョエルの書斎にも、飾ってあげるの。」
「え?」
顔を上げると、言うがはやいか小夜はスカートの裾をたくしあげ、籠を小脇に抱えて、すでに駆け出している。
その後を、後ろに編んでたらしたお下げを揺らしてハジがあわてて追いかける。
「待って、小夜!」
 

仔ハジさんは今日も、奔放なお嬢様に振り回されているのでした。

とまあ、こんなこともあったかもね。

Fete du Muguet (すずらん祭り)・・・5月1日、フランスでは街中でたくさんすずらんが売られてて、花を贈りあうそうな。

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コメント 4

トントちゃん

ほのぼのです・・・純愛です・・・萌えです!(笑)
すずらん祭りで花を贈りあうなんて素敵ですね。
by トントちゃん (2008-05-09 19:49) 

うさぎりんご

>トントちゃん
ため口のハジなんて久しぶりに書きました。動物園妄想は楽しいです!
すずらん祭り・・・素敵な習慣だと思います~。街中も家のなかも、いい香りでいっぱいになりそうですね。
by うさぎりんご (2008-05-09 22:33) 

くーまま

えっへっへ!いいお話ですvこういう行事とかはサヤが仕切っていたらいいですね!このイラストもセピアカラーでかわいい~~v
by くーまま (2008-05-09 23:58) 

うさぎりんご

>くーままさん
≫こういう行事とかはサヤが仕切っていたらいいですね!
昔は小夜がいろいろ教えたり、世話をやいたりしてたかも。お姉さんな小夜もいいですね~。
by うさぎりんご (2008-05-10 23:42) 

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